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フリーランスの王とStockSunが切り開くカルチャー×共同体の時代

「アメリカでは2020年までに労働人口の50%がフリーランスになる」なんて言われているのに、日本ではまだフリーランスとしての働き方は一般的ではない。そんな中”フリーランスの王”を名乗り、フリーランス文化を世に広めようとしているのがStockSun代表、株本祐己だ。彼が創ったフリーランスネットワークStockSunには、フリーランスという生き方を良しとする「価値観」を持つ人々が集まる。実利とカルチャーが入り混じった新しい共同体の時代の芽吹きに迫る。

目次

illustration by Issey

フリーランスという生き方

フリーランスの定義とは、どうやら「会社に所属することなく個人で仕事を請け負う働き方」らしい。しかし、自称「フリーランスの王」である株本祐己の話を聞いていると、「仕事と私生活の融合」「付き合う人たちが変わる」「個の力で生きていく」など様々な点でフリーランスとはもはや「働き方」ではなく、1つの「生き方」なのではないかと思えてくる。そして近年、同じフリーランスという「生き方」を志向する人々達が集まり、共同体を形成し始めている。その先駆けが株本祐己が創ったフリーランス集団、StockSunだ。

我々Danch Broadcastingは「カルチャーに人が集まる時代」が来ると信じているが、フリーランスという存在を通してカルチャーの時代がビジネス界にも到来し始めていることは非常に興味深い。今回は、その「カルチャー」という観点から見たフリーランス集団StockSunの先見性に焦点を当てる。

フリーランス集団、StockSun

フリーランスという言葉は通常、「組織の中で働く会社員」の対義語であるかのように使われる。その常識を覆したのがフリーランス集団、StockSunだ。StockSunの正式名称は「StockSun株式会社」だが、その実態は一般的にイメージされる「会社」とは全く違う。

StockSun ロゴ

まず、StockSun株式会社には創設者である株本祐己、1人しか社員がいない。しかし、株本が企業から受注した案件を、彼が集めたフリーランス達に割り振るというシステムで成り立っている。時にStockSunのフリーランス達はチームを組んで仕事に当たる。そして、株本は彼自身が築いたフリーランス達のネットワークそのものを”StockSun”と呼ぶ。

株本祐己と年収チャンネル

StockSunはWEBマーケティングを得意としたフリーランス達の集団だが、他社のためのマーケティングだけでなく自分たち自身のブランディングも欠かさない。そしてその最たる例がYoutubeチャンネル『年収チャンネル』だろう。年収チャンネルはStockSun代表である株本がフロントマンを務めるチャンネルであり、StockSunと株本祐己の名前を世に知らしめる大きなきっかけになったと言える。

年収チャンネルが発信するメッセージ

年収チャンネルとは2018年4月に開設されたYoutubeチャンネルであり、キャッチコピーは「高学歴なら稼げ!」だ。そのキャッチコピーの通り、年収チャンネルは高学歴の就活生と社会人向けに、”就活生に人気な企業”のビジネスモデルと実態を、実際に働いていた人へインタビューするという形で発信している。

年収チャンネル ロゴ

この記事の最初で、「株本はフリーランス集団の長でありフリーランス文化を世に広めている」と書いた。では、なぜ株本祐己は年収チャンネルで、フリーランスの対局に位置するように見える「人気企業の会社員」に関する情報を発信しているのだろうか。その答えは年収チャンネルの『【特別編】20代の若者にどうしても伝えたい事』という動画の中で語られている。

戦闘力が上がる会社を選ぶことが今の就活生の一番大事な判断軸。

年収チャンネル『【特別編】20代の若者にどうしても伝えたい事』より

僕はよくフリーランス、フリーランスと言ってますが、別にこのチャンネルはフリーランスをオススメしているわけじゃない。個人の市場価値というのが最終的に上がりきった後、どういう世界が待っているかというと、これだったらフリーランスで生きてったほうがよくない?って最終的に出てくるんです。選択肢として。

年収チャンネル『【特別編】20代の若者にどうしても伝えたい事』より

株本はなにも”フリーランス”という存在全てを肯定しない。個人が実力をつけ、最終的にたどり着く結果としての”フリーランス”を理想としている。そしてその「実力」や「個人の市場価値」をあげる一つの有効な手段として「人気企業への入社」であったり「良いベンチャーで揉まれる」ことが重要であると説き、学生と若者には見えない企業の実態や世の道理を発信するのである。

実際入ったら分かるけど、本当に社員全員がキラキラ働いてる会社なんてほぼなくて、ほとんどはつまんない仕事をつまんない人間がつまんないオペレーションで回しているのがこの世の中の現状。

年収チャンネル『特別編】20代の若者にどうしても伝えたい事』より

年収チャンネルは最初、「年収1000万を稼ぐためにはどうすればいいのか?」や「みんなが憧れる大企業の実態はどうなのか?」といういわゆる”ノウハウ系”の情報を発信していた。しかし、年収チャンネルと株本祐己の知名度と人気が上がるにつれ、彼自身の考え方や思想自体に価値が生まれていっている。そして、年収チャンネルの根底には彼の”思想”や彼が定義する「彼自身の役割」が色濃く反映されている。

40年そこで勤めあげるほど覚悟がないのに勤めると飽きるし環境は全部知った上で選んでいるわけではないから、絶対隣の芝が青く見えたりするんですよ。だから、僕みたいな社会人として先にすでに経験している人が「世の中全体がこうだから、その選択肢でいいの?」って定義してあげることが僕の仕事なのかな、と思っている。

年収チャンネル『【特別編】20代の若者にどうしても伝えたい事』より

StockSunオンラインサロンの設立

フリーランス集団StockSunは元々、その仲間を株本祐己自身の人脈やTwitterでの募集によって増やしていた。そして、2019年11月にStockSunはついにオンラインサロンを開設する。StockSunが開設したサロン自体はfacebookグループを用いて運営されており、ごく一般的なオンラインサロンと同じ形だ。しかし、これは漠然としたフリーランスの集合体であった”StockSun”という存在に、1つの輪郭を与えているという意味で注目に値する。

StockSunオンラインサロンの新しさ

StockSunのオンラインサロンは俗に言う”オンラインサロン”とは一味違う。オンラインサロンで有名なのはホリエモンや落合陽一、箕輪厚介、西野亮廣などだが、彼らが開設したオンラインサロンには「個人」の思想に集まっているという特徴がある。通常のオンラインサロンでも、結果としてサロンメンバー同士で独自の活動が生まれる例はあるのだが、それらも元を辿れば「個人」の看板の下に集ったメンバーであることに変わりはない。

もちろん、StockSunのオンラインサロンにも株本祐己「個人」のファンが集まっていると言う側面はある。しかし、StockSunのオンラインサロンはフリーランスに憧れる人、現にフリーランスとして働いている人、フリーランスを起用したいと考えている経営者であったりをメンバーとして募集しており、「個人」というよりもむしろフリーランスという選択を良しとする「カルチャー」に人が集まる構造になっている。

カルチャーによるコミュニティの時代

人のコミュニティは元来、農村や街、国など場所に縛られていた。それが企業や国家などある種「権力」の元に人が集まり、コミュニティを形成する時代に移行した。そして、今それら「権力」に集まっていた人々はSNSやオンラインサロンを筆頭に「個人」の元に集まっている。「個人」に集まる時代になったことで、人々は複数の共同体に同時に所属することが可能になった。そしてそんな「個人」に集まる時代もただの通過点であり、これからは同じ価値観を共有する「カルチャー」に人が集まる時代になるだろう。「カルチャー」による共同体はその内部と外部の線引きは明確ではなく、個人は異なる「カルチャー」を持つコミュニティに複数所属することになる。

とはいえ、昔から「カルチャー」に人々が集まるコミュニティというのは存在していた。1960年代に隆盛を誇ったヒッピームーブメントはその代表だが、それはあくまでカウンターカルチャーとして存在していたのであり、メインストリームにはなり得なかった。

掛け持ち可能な「カルチャー」によるコミュニティがメインストリームになり得る時代がすぐそこまで到来しており、今は「個人」の時代と「カルチャー」の時代の中間点だ。そんな中”StockSunオンラインサロン”という個人とカルチャー双方に集うコミュニティが生まれたのはごく自然な流れだと言える。

カルチャーと教育

StockSunのオンラインサロンは大学生には「インターンやベンチャー企業の求人情報」、フリーランスには「案件の紹介と事例・ノウハウの共有」、経営者には「オンラインサロン内のリソース」を提供するとしているが、この中でもっとも興味深いのは「事例・ノウハウの共有」だ。同じ「カルチャー」の元に集まったメンバーに、自分たちのノウハウやマインドを教え込むことでその「カルチャー」をより強固なものにしていくというやり方は、まさに次世代の共同体の形と言える。

クローズドな環境でみんなで高め合いながらいろんなフリーランスモデルというのをこれから展開していこうかなと。そんな感じですね。

年収チャンネル『オンラインサロン開設しました|vol.381』より

ちなみに株本はこのオンラインサロンに関して、プライベートな遊び相手の募集も兼ねていると述べている。同じ「カルチャー」の下に集まることで、プライベートでも馬があう人に出会う確率は高くなる。プライベートと「コミュニティ」の境目が不明瞭になっていくカルチャーの時代の始まりを感じる。

あと単純に、暇で時間が余ってきたときに麻雀とかゴルフとかやるときに、仲間が増えたらいいな、みたいな。

年収チャンネル『オンラインサロン開設しました|vol.381より

最後に

Twitterや年収チャンネルで「雑魚と関わりたくない」など尖った発言を繰り返し、嫌われがちな株本祐己だが、実はその思想は利己的なものではない。最後にそんな株本氏の愛を感じる言葉を引用しようと思う。

世の中にフリーランスが増えれば増えるほど、僕の会社も儲かる仕組みなんです。僕ももともとフリーランスをやっていて、めっちゃいいじゃんと思ったからフリーランスを増やす仕事をしているんで、「僕が儲かる=幸せな人が増える」ことだと本気で思っているんですよね。

年収チャンネル『【特別編】20代の若者にどうしても伝えたい事』より

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