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タイラー・ザ・クリエイターとは?知らないあなたに送るラブレター

タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, The Creator)を知らないあなたに、タイラーの魅力を伝えたいが、彼は元々…、とか音作りが…とかを説明するのはもっとうんざりだ。きっと読むあなたもそういう記事はそろそろうんざりなはず。それでも、「タイラーザクリエイターとは」とかで検索しちゃってるあなたのための入口を用意した。

目次

illustration by エノシマナオミ

タイラー・ザ・クリエイターのおもしろさ

もしあなたの周りにタイラーが好きな人がいたら、オススメの曲はなに?って聞いてみて欲しい。するとその人は頭を悩ませながら、「Goblinの時は〜」とか「でもFlower boyでは〜」とか「GOLFとかCamp Flog Gnowもやってて〜」…知らない人からしたら念仏のようなことをしばらくベラベラと話し出すはずだ。

それもそのはず。タイラーが好きな人は曲や音楽性に限らずタイラーそのもの、もしくは文字通りTyler, the creatorがその都度、創造する世界に魅了されている人がとても多いから。
往々にしてファンとはそういうものかもしれないが、ことタイラーザクリエイターにおいてはそのケースが多いんじゃないだろうか。

というわけで、各界の人たちがタイラーザクリエイターに送るラブコールを集めてみた。魅力を言語化した先人たちの知恵を借りて、あなたにエッセンスをお届けする。だから、これは厳選されたタイラーへのラブレターのプレイリストである。

そして彼らがタイラーが好きな気持ちがあなたにも伝わるはず。みんなの熱量が伝染してあなたがタイラーを好きになるきっかけになればいいなと思って。

彼の「音楽」に送るラブレター

星野源

タイラーってなんかユーモアと悲しさみたいなもの。あとはマッドな感じっていうのが全部ないまぜなのがすごくかっこいいなと思ったりとか。

block.fm『INSIDE OUT』星野源 出演回より

https://block.fm/news/insideout_hoshinogen_tylerthecreator

星野源もタイラー好きを公言している。彼がここで言及するのは、タイラーの音楽性に関して。

きっと彼が言うユーモアと悲しさのないまぜは下の動画に良く表れている。最初の1分でそれは伝わるだろう。自分の中のごちゃごちゃな感情を音楽の中でユーモラスな表現に昇華するのは彼の魅力の一つだ。

ちなみに星野源『Crazy Crazy』のジャケット写真はタイラーのアルバム『WOLF』をサンプリングしているが、誰にも気づかれないとのこと。

以下が比較画像。確かにこれで当てろっていうのはちょっと難しいかもしれない。

星野源『Crazy Crazy』
Tyler, The Creator『 WOLF』

山下達郎

あれは健全な使い方でしたけどね。この間のタイラー・ザ・クリエイターはね。

NHK FM『松尾潔のメロウな夜』山下達郎 出演回

https://miyearnzzlabo.com/archives/57376/2

最新アルバム、『IGOR』の『GONE, GONE/THANK YOU』で山下達郎の『Fragile』をサンプリングしたタイラー。『GONE, GONE/THANK YOU』の4分45秒〜に使われている。

彼は音楽が好きだってことを全く隠さないし、好きなものへの愛情表現を惜しまない。アウトプットだけじゃなく、自分がなにに影響を受けてきたかを惜しみなく伝えるやり方は、彼が率いていたクルー、OFWGKTAがその先駆けだったのではないだろうか。
日本の音楽も好んで聴くようで、彼が曲をここまで大胆に引用したのは今回の山下達郎が初めてである。

対する山下達郎のコメントは?どういう意味だろう?これ褒めてる?

音楽をこよなく愛する、52歳男性。(個人ブログより)

主張する中身とは関係のない言葉の力(というより肉声の力といった方がより正確かも)も好きになるかどうかの大きな要因となっている。言葉が分からなかっても、伝わってくる熱量のようなものがある。

ブログ『名盤!』より

https://open-g.at.webry.info/201905/article_3.html

言葉がわからないからこそ、その曲から連想されるニュアンスが言外の部分で伝わってくるのは、英語が分からない人が洋楽を聴く時のメリットの一つだ。歌詞が分からない方が楽しいなんてことは往々にしてある。タイラーの音楽は、特にその側面が強いのではないだろうか。

タイラー「そのもの」に送るラブレター

Orono (Superorganism)

フランク・オーシャンのフックアップで一躍話題となった、ロンドンを拠点に活動する多国籍バンド、Superorganism。そこでヴォーカルを務める10代の日本人女性が、Orono。

多分、タイラーの存在そのものやアティチュードを私は尊敬してるんだと思うよ。輝いていて、一目見ればわかる資質のようなものがある。私の好きなアーティストたちがみんな持ち合わせていて、私は本能的にそれをすぐ感じ取ることが出来る。彼らは囚われていない。アートを創造することを愛している……いや、アートなんか本当はファックだな。ただ、やりたいことをやったり、なんか作ったりしてるのが好きなだけだ。純粋な情熱、誰にも偽ることのできないもの。多分、本当のところ、彼らは気にしてないように見えて、いろんなことを気にかけているのだ。すごく彼らの辛さとか悲しみみたいなものに私自身共感してしまう。ただただ、単純に自分のためにやってるだけなのに。

マガジンハウス『POPEYE』2019年 11月号より引用

冒頭に述べたタイラーの魅力に最も近い言葉だ。タイラーは曲制作の他にも、自身が展開するブランド「GOLF」で洋服を作ったり、バラエティ番組を作ったり、アニメを作ったり。文字通り彼はミュージシャンなのではなく、タイラー・ザ・「クリエイター」なのだ。

そしてタイラーのそれはアーティスト全とした雰囲気ではなく、やりたいと思ったからやってる。という感覚が節々から伝わってくる。

これはタイラーが主催するフェス「Camp Flog Gnow」2019年の様子。彼や彼を取り巻く人たちが描く世界像が見えてくる。

ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)

タイラー、あなたがいなかったら私は存在し得なかった。それはみんな知ってることだよ。

Bille Eilishのinstagramより

今をときめくビリーアイリッシュもタイラーにここまでのラブコールを送る。ビリー・アイリッシュだけでなく、若手のシンガーソングライターの中でタイラーからの影響を公言する人たちはとても多い。Oronoも言っていた、タイラーからにじみ出ている「思いついたおもしろいことをやっちゃう」という感覚は、世界中に蔓延し始めている。そして、その先駆けとなるのが彼の存在であることに疑いの余地はないだろう。

Billie Eilish『when the party’s over』のMVはTyler, the Creator『Yonkers』のオマージュであると言われている。下の動画を見れば一目瞭然だ。

じょん(個人ブログ。noteより)

最初、彼の言う可愛さや美しさというものは自分にとってレベルが高すぎるもので正直理解できなかった。しかし、「おそらく彼には自分には見えていない何かが見えているのではないだろか」という漠然としたイメージのみはあり、そこから来る「同じ世界を見たい」という謎の好奇心が私を搔き立てた。それまであまり意識してこなかった微妙な色の違いや空、草木、花といった自然の美しさなどに興味を持つようになり、私の生活はより一層豊かになったように感じる。

『私が惚れた男、タイラーザクリエイター』 note by じょん

https://note.com/iwduimt/n/n8f31e18c46c9

『そこから来る「同じ世界」』という表現に着目したい。タイラーには、彼が思い描く世界みたいなものがある。それを表現するために、音楽、服、フェスなどなどアウトプットは限定しない。どこから興味を持とうが、彼を好きな人は彼の描こうとする世界に興味があるのではないだろうか。

そしてきっと、タイラーが好きではない人も、そこに新しいクリエイターの形が生まれていることは無視できないはずだ。そこで最後に、逆に「タイラーが送るラブレター」を紹介したい。

タイラー・ザ・クリエイターが送るラブレター

タイラーはファレルが大好きで、エイサップロッキーと超仲良し。しかしあえてここではイーロンマスクが好きなことを取り上げたい。イーロン・マスクとはテスラ・モーターズでおなじみの実業家、経営者。タイラーはイーロン・マスクが大好きで、それは彼の曲、『911/Mr.Lonely』にも登場するほどだ。twitterでも度々イーロンに対するラブコールを送っている。

I LOVE YOU THANK YOU FOR CHANGING THE WORLD AND MAKING THE EVIL OIL MEN WHO RUN THE WORLD HATE YOU

イーロン大好き。世界を変えてくれてありがとう。そして、世界を統治する人たちがあなたを憎む事になる悪のガソリンを作ってくれてありがとう。 

Tyler, The Creator の Twitterより

彼の興味と好奇心は、音楽界隈ひいてはアートやカルチャーにとどまらない。上記の文章はイーロン・マスクがTwitterに新しい車のモデルのスケッチをあげた際にタイラーが送ったリプライだ。冗談を混じえつつ、タイラーがイーロン・マスクの試みを応援している様子が伝わってくる。

彼はどんな場所であれ、形であれ、世界が変わるのを楽しみにしているし、新しい世界が生まれることにいつもワクワクしている。

たとえあなたのそれがタイラー・ザ・クリエイターの世界線と違うものであっても、彼は世界が変わりもっとおもしろくなるのを心待ちにしているはずだ。

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